アルミ加工ラインを立ち上げよ
当社はこれまで「鉄」を主な素材として製品を作ってきました。私が挑んでいるのは、当社にとって新しい素材である「アルミ」の加工。アルミはこれまでも少しは扱ってきましたが、今回ほど大きく立体的な製品は初めて。その製品とは、EV車の駆動部に搭載されるモーターやギアを格納するハウジングです。機械装置を保護するための箱型の部品で、外側も内側も極めて複雑な立体形状をしています。この製品を生産する工程を設計し、加工ラインを立ち上げること。立ち上がったラインを量産稼働させ、状態を検証し、改良と改善を加えること。そして実生産で得たデータを反映させ、アルミ加工ラインを構築するための標準ルールをつくること。こうした課題に取り組んでいます。
設計図と現実との間の距離を埋める
ラインの立ち上げは以下のような流れで進めます。まず株式会社アイシン(愛知県)で製品を設計します。構造や強度をシミュレーションして設計し試作品をつくり、耐圧検査などを実施。その結果を反映して詳細図面を作成します。ここからが私たちの出番です。この図面を現実のモノにしていくにはどうすればいいか。鋳造で成形されたアルミ素材を、どういう順番でどのように仕上げていくか。工程を設計しラインレイアウトを検討、そして設備を選定し導入する。マシン類のプログラミングを行い、ラインを稼働させ試作する。まず25台を流し精度をチェックし、OKならば量産段階に移ります。
続出する「想定外」との戦い
さあ、ここからが本格的な「仕事」の始まりです。(笑)量産は「万」の単位で行われます。そうなってくると試作段階では想像すらしなかった思いがけないさまざまなトラブルが発生してきます。その原因を特定し、対策を立て、一つ一つ解決し、ラインを成長させていきます。ここで得られた知見は、そのままアイシン福井のノウハウとなり、それを「ルールブック」としてまとめ、当社独自の標準化技術とする。今はまさにこの段階で格闘の日々を送っています。